今回の記事は「PER が安い銘柄は本当に買いなのか?」を、解説します。
初心者向けの投資の手法で「PERの安い銘柄を買いましょう」という投資手法があります。
ただ、PER が低い銘柄ならどの銘柄でも買いなのでしょうか?
この記事では、PER の基礎と、PER が高くなったり、低くなったりする仕組みを解説します。
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PERの計算式
PER = 株価 ÷ 一株当たり純利益
※ 一株当たり純利益 = 純利益 ÷ 発行株式数
(EPS とも呼ばれる)
では、PERの計算式をおさらいします。
PER の計算方法は、株価を一株当たりの純利益で割って計算します。
ちなみに、1株当たりの純利益とは、EPS とも呼ばれ純利益を発行株式数で割った値になります。
PERを計算する時は、1株の株価を1株当たりで稼いだ純利益で割って計算します。
計算式の例
一株150円 ÷ 一株あたりの純利益10円 = PER15倍
毎年10円の純利益 × 15年 = 150円
例えば、一株150円で、一株あたりの純利益が10円だった場合、PER は15倍になります。
仮に毎年、一株あたりの純利益が10円だった場合「15年で元を取ることができる」と考えることができます。
実績PER、予想PER
ちなみに余談ですが、PER には「実績PER」と「予想PER」の2種類があります。
実績PER とは、直近の本決算にて確定した純利益を元に計算し、予想PERは、次の本決算で予想される純利益を元に計算します。
実績は、直近の本決算の実績で、予想は次の本決算の予想になります。
PERの平均は15倍
15倍を超えると高い
15倍より低いと安い
ただし、あくまでも目安
さて、今回の例では、PER が15倍となりました。
PER が15倍は高いのでしょうか?低いのでしょうか?
一般的にPERはの平均値は15倍とされています、よって投資家は「15倍を超えると高い」「それより低い場合は安い」と考えます。
もちろん、企業の業種や業績によって、10倍でも高い、20倍でも安いなど、一概には言えませんが、基準は15倍を目安にしています。
また、投資家は「平均15年で回収したいと考えている」と言うことができます。
ただし、あくまでも目安になります。
平均が15倍であり「15倍を基準に考えられている」と理解しましょう。
また、株価は日々変動しますので、PERも日々変動します。
ただ、変動も考慮に入れてしまうと解説が複雑になってしまいますので、この例では、株価が変動しなかった場合で解説しています。
利益は、現金、投資、配当
利益は、
・現金
・投資
・配当
※ キャピタルゲインとは、株価上昇に伴う利益
ここで「企業が純利益を稼いだとしても、自分にお金が入るわけでは無いので、回収したとは言わないのでは?」と思った方もいると思います。
例えば、企業は1年間に稼いだ純利益から「配当金」として一部を株主へ還元します。
しかし、配当金は純利益の一部を株主に支払うのであって、全額ではありません。
つまり、純利益が10円だったとしても、配当金は2円などと大幅に減額されます。
つまり、8円損した気になってしまいます。
安心してください。
企業は、残りの8円を「投資」に回したり「預金」として保有します。
つまり、企業が稼いだお金で設備を購入したとしても、その設備の一部は株主の物になります。
もちろん、預金した場合のお金も株主の物になります。
つまり、株を買うことで企業の一部を所有したと考え、企業の持ち物は全て株主の物になります。
よって、将来設備投資で更に利益が伸びることで、企業の価値が上がり、現金を保有することで、企業の価値が上がり株価が上がるのです。
つまり、株価が上昇し株主は値上がり益を得ることができるのです。
利益は、下がることもある
利益は、下がることもある
一株150円 ÷ 一株あたりの純利益10円=PER15倍
↓
一株150円 ÷ 一株あたりの純利益5円=PER30倍
ただし、利益は下がることもあります。
仮に、一株150円、純利益が10円で、PER15倍の企業が業績不振で5円になった場合、150円÷5円でPERが30倍に上がります。
つまり、今期は純利益10円稼ぐと思われていた銘柄の業績が突然悪くなり5円になってしまった場合、PER は30倍になるのです。
もちろん、決算にて、急にPERが30倍になった企業の株は売られます。
今までは15倍が適当と思われていた銘柄なので、半額の75円まで下がる可能性があるのです。
利益は、上がることもある
利益は、上がることもある
一株150円 ÷ 一株あたりの純利益10円=PER15倍
↓
一株150円 ÷ 一株あたりの純利益30円=PER5倍
また逆に、利益は上がることもあります。
仮に、一株150円、純利益が10円で、PER15倍の企業が業績好調で30円になった場合、150円÷30円でPERが5倍に下がります。
つまり、今期は純利益10円稼ぐと思われていた銘柄の業績が好調で30円になった場合、PERは5倍になるのです。
そして、急に5倍になった企業の株は大幅に上昇します。
今までは15倍が適当と思われていた銘柄なので、3倍の450円まで上昇する可能性があるのです。
理論上の話
ただし、今回紹介した内容は理論上の話です。
株価は日々変動します。
最終的に株価は、需要と供給で決まります。
PERは指標
つまり、PERはあくまでも指標です。
純利益より買われすぎているのか、売られすぎているのかを確認する指標になります。
これだけ稼いでいるのにPERが低い、稼いでいないのにPERが高いなどと、確認する項目になります。
あくまでも、理論的にはそうなると考えましょう。
特に出来高が少なくあまり知られていない企業の場合、放置され、高すぎたり安すぎたりすることもよくあります。
また、PERが20倍、30倍と高くても、将来利益が何倍にもなると予想される銘柄は投資家が積極的に買いますので、PERが高くても株価が更に上昇することもあります。
必ず上がるとは限らない
また、今回の例のようにPERが大幅に安くなったからと言って、必ずしも上がるとは限りません。
利益が上がっても売りたい、将来は大幅に下ると思う投資家が多い場合は、PERが5倍だろうと株価は上昇しません。
つまり、上方修正によって純利益が10円から30円になっても、来期は元の10円に戻る可能性が高い場合は上昇しません。
逆に来年、再来年と数年に渡って利益が毎年何倍も伸びる企業でしたら、株価が何倍にもなる可能性があるということです。
PERが100倍の銘柄もある
また、探すと、PERが100倍の銘柄もあります。
さすがに100倍は株価が高すぎると思いますが、その企業を調査すると、何年も利益を何倍にも伸ばしている企業です。
ここで言いたいのは、先程15倍が平均と解説しましたが、あくまでも平均であって、毎年好決算を出している銘柄は純利益が上がることで、将来PERが下がりますので高くても買われるのです。
今回は、基礎的な内容を解説するため15倍を平均とし、高い、安いを解説しましたが、例外は多くありますので企業の業種や業績を確認することが重要です。
ただし、PERが100倍の銘柄は、現時点で高いことは間違いありません。
仮に、来年利益が下がった場合、株価が暴落する可能性が高いのでギャンブルになってしまう可能性もありますので注意が必要です。
純利益が上がると、純利益が下がると
純利益が上がると、PERが下がって株価が上がる
純利益が下がると、PERが上がって株価が下がる
まとめると、将来純利益が上がるとPERが下がりますので、株価は上昇し純利益が下がるとPERが上がりますので株価は下がります。
つまり、投資家が将来利益が上がると思う銘柄は上がり、下がると思う銘柄は下がるのです。
結論だけ言ってしまえば当たり前ですね。
ただし、実際に好決算を発表した銘柄でも、投資家が想像していたより純利益が低いと大幅に株価が下がることもあります。
また、短期の株価は、度を超えて下がったり、上がったりすることもあります。
決算を確認し、業績で企業に投資をする場合は長期で株価を見ることが重要です。
良い銘柄は短期で売られても、長期では再び上昇しますので、長い目で見ることが重要なのです。
まとめ
いかかだったでしょうか?
今回は、PER の基礎について解説しました。
ただし、今回紹介した内容は理論上の話なので、全ての銘柄に当てはまるわけではありません。
PERはあくまでも指標なので、純利益より買われすぎているのか、売られすぎているのかを確認する指標であると理解しましょう。
よって、PER は今20倍だけど今後それ以上に上がるのか?
また、PER は今5倍だけど今後はそれ以上に下がることはあるのか?
を考えて売買をすることが重要です。